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ふるさと徳島の魅力を再発見し、取り組み始めた地域での複業【フリーランス 大村さん】

2024.03.29

1)メディアや販促・PRの仕事を通じた地域との接点
-はじめに、大村さんの普段のお仕事について教えてください。
現在は、フリーランスでテレビ番組の制作スタッフとして働いています。制作会議に出て、企画内容に該当するような場所、モノ、人を探し出して事前取材を行い、提案や裏取りをするリサーチ業務が主ですが、アシスタントプロデューサーとしてバラエティ、情報、報道番組などに携わることもあります。

私自身、食べることが好きで、リサーチャーの仕事を通して地域の食に詳しくなったこともあり、最近は食の専門家として、「地域の食のトリビアを記事にして欲しい」という依頼や、「新商品のメニュー開発を手伝ってほしい」という相談もいただくようになりました。
フリーランスとして独立する以前は、会社員として広告代理店で営業をしたり、宝飾品メーカーで販促やPRを担ったりしていました。地域の小売店と一緒に展示会をおこない商品を販売するという取り組みをしていたこともあり、メディアや販促・PRという仕事を通じて地域との関わりがありました。

2)頻繁に帰省するようになって、あらためて感じた徳島の魅力
-大村さんはもともと徳島との繋がりがあったのでしょうか?
父が大学の先生をしていたので家族で徳島に住んでいましたが、高校進学で県外に出ました。子どものころ一番長く住んだ土地ですが、正直、早く県外に出たいという気持ちが強く、徳島の良さに気づいていませんでしたね。高校卒業後も仕事で近くを訪れた際に実家に帰省する程度でしたが、数年前に父が他界し、家の用事で頻繁に徳島に帰るようになりました。

-今は徳島について、どのような印象を抱いていますか?
久々に帰ってみると徳島の人も土地も魅力的で、子供の頃とは違った印象を受けました。最初はなかなか馴染めないのではないかと思っていたのですが、穏やかで優しい人が多く、いつも温かく迎え入れてくれます。

また、空港から徳島市内に向かって車で走りながら、吉野川や眉山をバックに広がる徳島の街並みを見るととても心が和み、素敵な景観だなと感じます。子供の頃によく見ていた懐かしさもあるとは思いますが、県外から訪れる方にも「徳島の景観が素敵だね」と言っていただくことが多いですね。

-令和4年度実施のプロジェクトに興味を持ったきっかけを教えてください。

徳島に知り合いが増えて色々な話をするなかで、面白い取り組みをしている事業者さんが多くいることを知り、何かお手伝いできることがないかと思っていたところ、たまたま令和5年度実施のプロジェクトの案内を目にして、徳島に関わりながら仕事ができればと思い参加しました。

3)フィールドワークで現地を訪れたからこそ得られた気づき

-実際に令和4年度実施のプロジェクトに参加されてみていかがでしたか?

フィールドワークに参加して思ったのは、現地に行かないとわからないことがたくさんあるということです。オンラインで話を聞くだけでは、事業者の皆さんの熱量や事業の実情も把握できないですし、他の参加者の方もいる中であまり深い質問をするのも難しいので、現地を訪れて様々な情報を得ることが大事だと思いました。
また、提案書を作成するにあたり、具体的にどこまで踏み込んだ内容にすれば良いのかわからず、初めは難しかったですね。かなり探り探りでしたが、提案を進めていく中で、徐々に事業者の皆さんの温度感を掴めるようになりました。
ー普段はあまり目にすることのない、食品や製品などの製造工程の裏側を知れるのも、フィールドワークの楽しみの一つですよね。
フィールドワークでは、普段あまり知ることのないような業種や業界の事業者さんに出会うことができ、社会科見学的な要素もあって面白いですね。

徳島は藍染が有名な土地なのですが、その藍染に使うタデアイという植物の間作で味噌や醤油に使用する大豆が作られるようになったという話を、今回はじめて知りました。阿波の蜂須賀公の御膳に供されたので「御前味噌」というのは知っていたのですが、藍と大豆の関係までは詳しく知らなかったので、徳島の味噌の歴史についてあらためて学びになりました。

ー志まや味噌さんに提案をしようと思った理由を教えてください。

現地で味噌を製造する様子を見学させていただき、お父様の跡を継ぐために娘さんが真摯に事業に向き合っている姿に惹かれました。また、ただ実直に味噌を作るだけでなく、未来を見据えて様々な取り組みをしながら志まや味噌を広めていこうとしていて、お手伝いしたいという気持ちになりました。フィールドワークでお会いし、話しを聞いて純粋に応援したいと思いましたし、実際に味噌を食べてみて味も美味しかったので、本当に良いものだからこそ広める価値があると感じました。

4)日本の伝統的な製法とPRを絡めた提案

-最初の提案書には、どのような内容を盛り込んだのでしょうか?

私は、味噌や醤油の伝統的な製法である木桶づくりを復活させる提案をしました。最近は製造管理の観点からタンクで作ることがほとんどで、徳島県内にも木桶づくりに取り組んでいるところはありますが、全国的には数が少なくなっています。代替わりするとそのノウハウが伝承されなくなってしまうので、小規模でも木桶づくりを復活させてみる提案をしました。


実は、今では木桶自体を作ることのできる職人さんも限られています。そのような中で小豆島のお醤油屋さんが大工さんとタッグを組み、木桶の作り方を習得して、毎年木桶を作るプロジェクトも進んでいるので、そうしたプロジェクトと連携して取り組んでいくのも面白いと考えました。

当初、志まや味噌の社長であるお父様は、製造管理が大変だから...と心配されているようでしたが、娘さんが木桶づくりに興味を持っていたため、了承のもとで検討を進めていくことになりました。海外への輸出など販路拡大を考えると、日本のトラディショナルな木桶づくりはブランディングにもつながり、実現すればPR効果は高いと考えています。

-志まや味噌さんと、どのような関わり方をされているのか教えてください。
徳島に帰ったときに、娘さんと一緒に食事をしながら、最近の味噌業界の話を聞いたり、食のトレンドをお伝えしたりするなどお互いに近況報告や情報交換をしています。

またSNSの運用など、情報発信のアドバイスもしています。日々の業務に追われ、なかなか手が回らない様子でしたが、3日に1回ぐらいの頻度で良いのでストーリー投稿でお店の様子をアップなどするのを勧めたところ、目に触れる機会も増え、最近はフォロワー数も伸びているようです。

5)多角的な視点で、地域の事業者の後押しを
-今後、大村さんは徳島とどのような関わり方をしていきたいと考えていますか?
徳島の複数の事業者さんと関わることができたら嬉しいですね。普段は東京にいるので毎回訪問することはできませんが、直接会って話した方がお互いの理解や関係性が深まるので、帰省する際にお会いする時間を設けて支援できればと思っています。私はメディアの仕事を通して色々なことを目にしたり、人にお会いしたりする機会も多いので、多角的な視点を活かし、ブランディングなどの面でお手伝いできれば嬉しいです。


-令和4年度実施のプロジェクトに興味を持つ事業者さんや人材の方に向けて、伝えたいことはありますか?

地域の企業は人口減少による人材不足やマーケットの縮小などの課題を抱えています。今回の令和5年度実施のプロジェクトには、そうした状況に危機感を持ちながらも、前向きに行動している事業者さんが多く参加しているのが印象的でしたね。新しいことにチャレンジしようとしていたり、若い人たちが頑張っていたりして、あらためて地域のポテンシャルの高さを感じました。

一方で、地域の中にいると、どうしてもこれまでの慣習などを気にして、柔軟な発想ができないこともあるようなので、都市部の会社員やフリーランス、定年退職して現役を退いた方などが、それぞれの経験や知見を活かして地域に関わっていくことで、今より少しでも良くなる未来を思い描くことができるのではないかと思います。

もちろん地域や事業者さんにも様々な事情があり、簡単には実現できないこともあると思いますが、複業人材が外からの客観的な目線でアドバイスしながら、課題の解決に向けてうまくサポートしていくことで、お互いにいろんなチャンスが生まれる可能性を感じています。