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【インタビュー】徳島ならではのワーケーション「アワーケーション」について

2023.03.23

とくしまぐらし応援課移住交流担当です。

「新しい働き方」のロールモデルであるサテライトオフィス、その発祥の地であり、SDGs先進県「徳島」。サテライトオフィスの進化形として、働くこと(ワーク)と余暇(バケーション)を組み合わせたワーケーションが、コロナ禍を機に、都市部企業やビジネスマンの間で注目されています。徳島県では令和2年度から「阿波徳島ならではのワーケーション“アワーケーション”」の全県展開を進めていますが、その仕掛け人であり「推進エンジン」として最前線で事業を進めていたお二人、とくしまプロモーションディレクターの村松さんと、ANAあきんど株式会社徳島支店の大山支店長に、お話をお伺いしました。

(手前が大山さん、向こう側が村松さん)

 

- この数年で地方での新しい働き方、テレワークとバケーションを組み合わせた「ワーケーション」がずいぶん浸透してきたように感じますが、どんな背景があるのでしょうか。

村松さん: 「働き方改革の推進」でしょうか。働く人がそれぞれの事情に応じて、柔軟に働き方を選択できる社会を実現するための一環、そしてコロナ禍において、都市部の企業を中心に「テレワーク」が普及し、場所にとらわれず仕事ができるワーケーションが注目されている背景の一つだと思います。

大山さん: そうですね。また、観光産業の回復に向けて国内観光の「新しい旅行スタイル」としてワーケーションが注目されてからは、旅行者も感染リスクを避けるため混雑を回避する傾向が生まれており、働き方改革を推進する上でも、休暇の分散化に取り組む絶好の機会と捉えられていると考えています。

      

(村松さん:徳島県庁コワーキングスペースにて)          (大山さん:世界農業遺産エリアにて)

- これまでの徳島県の取組みについて教えてください。

村松さん: 徳島県はCATV普及率が11年連続全国1位(令和3年3月末現在)で、県内各地に全国屈指の「光ブロードバンド環境」が整備されています。このインフラを活用して、10年以上も前から、徳島県と大都市をネットワークでつないで仕事を行う「サテライトオフィス」の誘致を進めて参りました。進出したサテライトオフィスで働く従業員の方々は、地域の方々と交流を深め、地域に溶け込み、地域の一員としていきいきと仕事をされています。そういう意味では、従業員の方々は「ワーケーション」が注目される前から「ワーケーション」をされてたんだと思います。先ほど申し上げたとおり、都市部の方々の「働き方」や「コロナの影響による価値観の変容」によりワーケーションが注目されてからは、リモートワークに必須の通信インフラとテライトオフィス誘致の経験、そして徳島県の豊かな「自然」、阿波おどりや阿波藍などの「文化」といった本県の強みである「地域資源」と組み合わせた、徳島ならではのワーケーションを「アワーケーション」として令和2年度から推進しています。具体的にはANAあきんど、地域の事業者さんと連携して、令和2年度には企業向けのモニターツアーを実施し、実証事業を行いました。翌令和3年度には企業のニーズに沿ったアワーケーションプランの開発と誘致活動、そして令和4年度は、さらに「アワーケーション拡大強化プロジェクト」と称して、「若者層」「親子・ファミリー層」「移住検討層」へとターゲットを拡大し、ターゲットのニーズに対応した、新たな「アワーケーションプラン」の造成や、県外事業者等のワーケーション誘致を行い「アワーケーション」のブランド化を促進しています。それぞれの事業については大山さんがよくご存じかと(笑)。

- ANAあきんど株式会社は地方創生に力を入れておられますが、徳島県のワーケーション事業では、具体的にどのようなことに取り組んできたのでしょうか。

大山さん: 我々、ANAあきんど株式会社は従来の「航空セールス事業」に加えて「地域創生事業」を事業の柱とし、パートナーの皆様、そして地域の皆様とともに日本の未来を創造する会社で2021年4月に設立されました。「あきんど」という社名には、「売り手よし、買い手よし、世間よし」の”三方よし”の志を取り入れ、地域の皆様、お客様、そしてANAグループそれぞれが、持続的なメリットを分かち合う関係を創っていきたいという思いが込められております。さて、徳島県と連携して進めている「アワーケーション」については、令和2年度に、企業向けの「モニターツアー」、首都圏企業(大手・ベンチャー企業)との「オンライン・ワーケーション意見交換会」を実施しました。企業側の現状と課題も把握でき、観光やバケーションではない、「アワーケーション」の可能性を感じました。翌令和3年度は、徳島県内の各エリアの地域事業者さんと連携し、アワーケーション参加者と地域の事業者、そして地域の住民の皆様との交流をコーディネートして、地域課題の解決策を共に考える「アワーケーション共創プログラム」を10プログラム造成し、都市部企業の本業を見つめなおし事業創造を考えるきっかけとしていただきました。令和4年度は、これまで取り組んできた「アワーケーション」の更なる拡大強化を図るため、企業に勤めている方や個人事業主だけではなく、「心の豊かさ」や、「ウェルビーイング(良く生きる)」を志向するビジネスパーソンに着目し、多様なライフスタイルに合わせた、若者層向けの「スタディケーション」、「親子ワーケーション」、「移住体感ワーケーション」として、「SDGs」への取組みをはじめとした、徳島県の魅力をアワーケーションを通じて体感いただく、13プランを造成し、100名以上の方々に参加いただきました。また、アワーケーションを通じた地域課題解決モデル創出のため、「にし阿波の傾斜地農耕システム」として世界農業遺産に認定されている県西部の集落にて、地域住民の方々とともに「雑穀の販路拡大」や「地元産野菜を使った食品開発」等の事業化を図るワークショップ、フィールドワークを行い、今まさに事業化に向けて動き出しているところです。ぜひ、ご期待ください!

- 今後のワーケーションの可能性や課題についてどのように感じていますか

大山さん: コロナ禍の価値観の変容により、企業、そしてその企業で働く従業員の考え方も相当変わった気がします。仕事柄、都市部企業の人事担当者ともよく話すんですが、従来のサービス、素材提供型のビジネスから「社会課題視点のビジネス」へ転換を進めている企業や、休暇先で仕事をするという概念を超えて、従業員の「ウェルビーイング」や企業への「エンゲージメント」を高めるため、働く場所を指定しない「従業員の居住地は問わず、どこでもリモートワークで働ける制度」を導入する企業も出てきました。

村松さん: 積極的にワーケーションを推進している企業はまだまだ少ないのが現実だと思います。大山さんが言うように「働く人の自由度」を高めるため、リモートワークがスタンダードとなり、必要に応じてオフィスに出勤し、対面で打合せや商談を行う「ハイブリッドワーク」を採り入れる企業が徐々に増えてきてます。今後、こうした制度を採り入れる企業が増加すると従業員はもう「ワーケーション」という言葉を使わなくても「当たり前のように」いろんな所で働けるんじゃないかと思います。

- 地方でワーケーションを考えている都市部在住の皆さんに対して一言お願いします。

村松さん: 新しいライフスタイルが生まれる中で、ワーケーションという枠を越えて、「地域の課題解決」や「複業」に取り組んでくれる人、いろんな思いでかかわってくれる人達が、これからも徳島に関わり続けてくれるような取り組みを続けていきます。都市部にはないものがここ徳島にはあります!徳島に来てみんで!(笑)

大山さん: 徳島県には、自然や歴史文化、食文化だけで無く、四国遍路での「お接待」にみられる巡拝者をあたたかくもてなす、思いやりや心遣いなどの「心の文化」が根付いています。これからも徳島県に惹かれた「人が人を呼ぶ」をコンセプトに、 ワーケーションを通して地域の方々と交流し、地域と長く付き合っていただければと思ってます。ぜひ足をお運びください。

 

    

(アワーケーションの受け入れ中。現地での関係者との総合調整を行うお二人)