阿南市移住促進コーディネーター
新川直美さん
「もともと悩みがちな性格だったのですが、移住してからは常に前向きにいられている。本当に進みたい道に進めている気がします」。
まっすぐな眼差しでそう話すのは、約10年間の首都圏生活を経て、生まれ故郷である徳島県阿南市にUターン移住した新川さん。現在は、阿南市ふるさと未来課の移住促進コーディネーターとして、移住を考える人のサポートを行っています。
大学進学を機に上京。卒業後はデザイナーズブランドの販売員として、東京都内のアパレルショップに勤めていました。「ずっと行きたかった東京。華やかな都会での生活が大好きで、徳島に帰る気はまったくありませんでした」。
2019年に結婚し、コロナ禍に突入した2020年2月に里帰り出産。当初はすぐ関東に帰るつもりでしたが、緊急事態宣言などの影響を踏まえ、そのまましばらく阿南市にとどまって子育てをすることに。
最初は仕方なくの滞在でしたが、久しぶりの阿南市での暮らしで、居心地のよさや生活のしやすさを実感。「綺麗な空気や虫や石など、外に出るだけで子どもにとってはたくさんの良い刺激を与えられる環境にいいなぁと感じていました」。
2020年7月に神奈川県の自宅へ戻り、時短勤務で職場に復帰したものの、そこからは「ギリギリの生活だった」と振り返ります。
朝一番で子どもを保育園に預け、満員電車に1時間揺られて出勤し、仕事をこなして、退勤後は保育園のお迎えにダッシュ、やっとの思いで帰宅したら、そこから夕食の準備をして……。
怒涛の毎日が続く中で、思い出すのは阿南市での穏やかな日々。「もう一度、地元に帰りたい」という想いを募らせました。
そんな折に、2人目の妊娠が判明。「いっぱいいっぱいになりながら、疲れた様子で子どもと接するのではなく、自分に余裕がある状態で、子育てを心から楽しみたい。それが子供にとっても良い環境だと思いました」。悩んだ末に、子どもと一緒に阿南市へ移り住むことを決断しました。
「空が広くて海や山もすぐ近くにある。そんな環境だから、2人の子育てをしながらでも自然と心に余裕を持てて、常に穏やかにいられています」と新川さん。
家の畑で野菜や果物を収穫したり、幼稚園の行事で地引き網に挑戦したりと、子どもたちも自然の中でのびのびと育っています。
さらに阿南市は、子育て支援制度も充実。なかでも0歳児~5歳児までの幼児教育・保育料の完全無償化が、大きな助けになっているといいます。
※参考「【阿南市】最新!令和6年度 子育て・教育に関する支援制度」
移住促進コーディネーターの仕事は、職を探す中インターネットで見つけて応募したもの。都市部で行われる移住フェアへの出展や、SNSでの情報発信、現地案内、空き家の紹介など、さまざまな角度から移住希望者をサポートします。
実は新川さん自身も、かつてオンラインで相談をしたことがあるそう。当時、担当してくれたコーディネーターと、現在は同僚として一緒に働いています。
「心がけているのは、移住の当事者として本音で話すこと。都会と田舎の子育ての違いや、移住前後の気持ちの変化など、感覚的なところも含めて自分の経験を正直に伝えています」と新川さん。まっすぐな言葉で、移住を考える人たちの背中をそっと押しています。
【おすすめスポット】
阿南市にある「中林海岸」。娘が月にちなんだ名前ということもあり、9月の満月の日に、地元新聞で月の出時刻を確認して、家族みんなで観に行くのが毎年の恒例となっています。遮るものや人工的な明かりがほとんどないので、水平線から昇ってくる月がすごく大きく明るく見えるんです!
【メッセージ、アドバイス】
楽しく前向きにいられる環境が一番! 自分に正直に、素直に向き合って、直感で「こうしたい」と思った道を信じて進んでほしいです。
【1日のスケジュール】
※掲載内容は、取材時点(2025年2月)のものです。