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仕事徳島で輝く女性海陽町

太平洋に臨むあたたかな”きゅうりタウン”で、未経験から夫婦できゅうり農家に(移住者インタビュー)

2025.01.27

きゅうり農家(320Farm)
満尾美香さん

美波町、牟岐町、海陽町からなる、徳島県最南端の海部郡。移住就農によってきゅうり栽培の担い手を確保し、産地の活性化を目指す「きゅうりタウン構想」を掲げています。兵庫県出身の満尾美香さんは、夫の匡記さんとともに海陽町できゅうり農家「320Farm」を経営。きゅうりタウンの一翼を担います。

匡記さんはもともと釣りやキャンプなどのアウトドアが好きで、「いつかは自然豊かな田舎で暮らしたい」と考えていました。「でも、当時5歳と3歳の子どもがいて、大阪にマイホームも買っていて。移住しても仕事がないと思い込んでもいたので、行けるとしたら老後だろうな、と諦めていたんです」。

「とはいえ、将来のために情報収集を始めよう」と、大阪府内で行われる移住フェアに参加するように。そこで、「きゅうりタウン構想」の一環で開かれた「海部きゅうり塾」と出会います。最先端の技術を取り入れた、次世代型のきゅうりの養液栽培を学ぶ研修プログラム。「これまでに得たITスキルを活かせるのではないか」。遠い未来のことだと感じていた"移住"、そして"就農"の選択肢が、システムエンジニアとして働いていた匡記さんの目の前に現れました。

しかし、美香さんは当初、移住に乗り気ではなかったといいます。「新築して間もない家や、子どもの友だち関係、ママ友やご近所さんとの繋がり……。時間をかけて築いたものを一旦手放して、新しい場所で一からやっていける自信がなかったんです」。

「でも、家族が離ればなれになるのは想像できなくて。最終的には、これまで見てきた主人の姿から『この人についていけば何とかなる、大丈夫だろう』と覚悟を決めました」。

2017年に家族で移住し、夫婦で「海部きゅうり塾」の4期生に。2人とも農業はまったくの初心者でしたが、約10カ月間の研修を通してきゅうり栽培のノウハウを習得し、卒塾後の2018年に独立就農。現在では、約1500㎡のハウスで年間最大45tを生産できるようになりました。

美香さんは日々の農作業の傍ら、同じくきゅうり農家の妻である女性たちと「かいふフレッシュミズ95%」を結成。規格外のきゅうりを活かしたクッキーやジャムを開発し、きゅうりの新たな可能性を追求しています。

「田舎暮らしは、のんびりできるかと思いきや毎日忙しい(笑)。特に就農したばかりの頃は、慣れない栽培や経営に精一杯で、休みがほとんどない状態でした。最近はようやく慣れてきて、力を抜いてもいいところが少しずつ見えてきましたね」。

自由時間が増えた今年、「この土地でできる共通の趣味があればいいよね」と夫婦でロードバイクを始めました。海陽町の「轟の滝」や那賀町の「もみじ川温泉」といった県南のスポットを中心に巡り、高知県や愛媛県へと遠征することも。最近では2人の息子も加わり、家族4人での自転車旅を楽しんでいます。

移住者や新規就農者として、地元の新聞などに取り上げられる機会も多い2人。「メディアを通して移住の背景や家族の状況を知ってくれているので、ご近所さんや町役場の職員さん、子どもの先生など、町のいろんな人が気にかけてくれるんです。でも決して踏み込みすぎない、ほどよい距離感が心地よくてありがたいですね」。

【おすすめスポット】
海のイメージが強い海陽町ですが、太平洋に流れこむ「海部川」もおすすめ。川底が透けて見えるほどきれいな清流で、何度訪れても感動! 「夏になったら必ず入る」という地元の人も多いです。

【メッセージ、アドバイス】
移住前にできるだけ何度も足を運んで、現地で暮らす人たちと喋って、その土地ならではの空気感や時間の流れに触れることをおすすめします。私たちも3回訪れて、移住後の生活をイメージしました。気になる市町村に移住体験ツアーや移住体験住宅があるなら、ぜひ活用してほしいです!