移住者インタビュー

Interview

Iターン30代専門・その他勝浦町

アウトドアを満喫できる土地を探していました。

岩佐勇毅さん

出身地:阿南市

移住年:2011年

現住所:勝浦町

職業:会社員

取材年月:2016年1月

若い頃からアウトドア全般を楽しみ、登山に夢中になったことで勝浦町を移住先に選んだという岩佐さん。中津峰山を望む小高い丘の上にあるマイホームのすぐ側にはアメゴが釣れる綺麗な小川が流れています。この町での暮らしはどのようなものなのでしょうか。

「山が見える場所に住みたい」と思いました。

--もともとは同じ徳島県の阿南市に住んでいらっしゃったとか。

岩佐さん:生まれも育ちも阿南市で、就職したのも地元の企業なんですよ。家を建てるにあたり、家族で住むための土地を探しました。僕はアウトドア全般が趣味なので、どちらかといえば、自然豊かなフィールドに住みたいという気持ちがあったんです。そんなとき、不動産屋さんから紹介されたのが、ちょっと高台にあるこの勝浦町の土地でした。登山に夢中になっていた頃だったこともあって、よく登りに行っていた中津峰山がよく見える場所だし「ここからだったらすぐに出発できるな…」と考えていましたね(笑)。とにかく景色を含めたロケーションは抜群でした。

--アウトドア全般が趣味だと徳島県で暮らすのは楽しそうですね。

岩佐さん:高校時代はアルペンスキー、その後は波打ち際の動きを利用したサーフィンの一種であるスキムボードに夢中でした。川や海でカヌーも漕いでいましたし、社会人になってからはゴルフもやるようになりました(笑)。今のように山登りに夢中になったのは、マレーシアで勤務していた頃の友人が徳島を訪れた際、初めて剣山に登ったことがきっかけです。当時は何も知らなかったんですが、天候に恵まれたおかげで、とても気持ち良かったんですね。それから本格的に登山にハマってしまい、今では徳島県山岳連盟の理事を務めるようになりました。

--勝浦町に移住するにあたって準備していたことはありますか。

岩佐さん:それほど特別なことはしていません。普通の引っ越しと同じように、自分たちが住む土地の履歴や保育所の有無などを調べた程度ですね。近くに保育所だけではなく、子育て中のママが主催する育児サークルもあったので、子供が生まれても大丈夫だなと思いました。小学校までは少し距離がありましたが、下級生から上級生まで集団登校するため、一人ではない安心感もあります。最初は両親にも「山奥にある不便な町」というイメージがあったようですが、どんどん道も整備されて良くなってきていますし、徳島市や阿南市までは車で40分もあれば行くことができます。そう考えると、それほど田舎というわけではないと思います。

移住者に優しい町に家族全員が満足しています。

--勝浦町で暮らしはじめて、特に変わったことはありましたか。

岩佐さん:定期的なゴミ捨て場の掃除や雑草の草刈り、山道の整備などの「出役」と呼ばれる活動が多いことですね。自分たちの地域を暮らしやすくするために、勝浦町の人たちが昔から努力していた取り組みが今も続いているんですよ。それから、職場の先輩から「地元の人に早く溶け込むには消防団に入るのが一番」とアドバイスをいただいたので、移住してきた直後から消防団に所属しています。僕はお酒が飲めないのですが、こうした集まりに積極的に出るようになって、顔や名前も覚えてもらえましたし、周囲に声をかけてもらえるようになりました。

--岩佐さんから見た勝浦町の印象を教えてください。

岩佐さん:外から来た人にもフラットかつ積極的に接してくれる地域だと思います。たとえば、僕が山登りをやっているという話をしたところ、子供向けのボルダリングのコーチやオリエンテーリングのコースづくりなどを頼まれるようになりました。それから、町役場が移住者の意見を聞くための集まりを開催するなど、外から来た人の声にもきちんと耳を傾けてくれる姿勢は嬉しいですね。2014年からは移住希望者を対象としたお試し定住施設「田舎トライアルハウス 坂本家」もオープンしていますし、新しいことを面白がる余裕があるように感じています。

--特に「ここに住んでいて良かった」と感じたエピソードは。

岩佐さん:勝浦町には18歳までの子供の入院・通院の保険診療分の医療費が補助される「子どもはぐくみ医療費助成制度」があるんですが、子供が生まれてからは本当に有り難い制度だなと痛感しました。やっぱり小さい頃は真夜中に熱を出したり、急に腹痛を起こしたりするので、親の立場としてはとても心強いですね。また、採れたての野菜やミカンを分けてくれたり、誰もが子供にも優しいですし、僕たち家族にとっては、とても住みやすい町なのは確かです。それから、身近に豊かな自然が広がっているのも嬉しい点の一つ。家の近くを流れる綺麗な小川ではアメゴも釣れますし、都会から考えると非常に贅沢な環境なんだろうなと思いますね(笑)。

古くから町で行われていることに敬意を払って。

--逆に「ちょっと不便だな」「困るな」という点はありましたか。

岩佐さん:強いていえば、マイカーが必需品となる点でしょうか。車社会の一面がある徳島県では当たり前ともいえますが、どこかへ移動するには自家用車がなければ難しいですね。公共交通機関がバスとなるので、向かう方向の直通路線がなければ、大きく迂回して行く必要もあります。これは勝浦町だけの問題ではありませんが、将来的には徳島県全体の交通インフラも改善されていくでしょうし、より便利になっていくことを期待したいところです。

--最後に移住を考えている人へのメッセージをお願いします。

岩佐さん:そうですね。都会に比べると人との関係性が濃いのは確かですし、そこは最初から考えておいた方がいいのではないでしょうか。地域へ早く溶け込むには、地元の人たちから声をかけてもらうのを待つのではなく、自分から積極的に行事や集まりへ参加していくこと。たとえば、勝浦町でいえば「出役」のようなものですよね。どこへ移住しても同じだと思いますが、地域の人々が古くから続けてきたことに敬意を払い、自分たちも住民として“土地の一員”に加わる意識が必要不可欠です。その点さえ忘れなければ、きっと勝浦町での暮らしは面白いものになっていくと思います。