移住者インタビュー

Interview

Iターンサービス・飲食板野町

自然の中で、ありのままに生きる。

田中浩一さん

出身地:大阪府

移住年:2001年

現住所:板野町

職業:会社員

取材年月:2016年3月

田中さんが板野町に移住したのは15年ほど前のこと。勤めていた会社が徳島に農業部門を作るにあたり、その責任者として指名されたのがきっかけでした。日々、豊かな大地の中で育つ農作物と向かい合いながら、自然体での生活を続けています。

転勤がきっかけで、初めての四国へ。

--板野町に移住されるきっかけを教えてください。

田中さん:大阪にある奈良漬けの製造会社で働いていました。奈良漬けは瓜が原料となりますが、農家さんが高齢化したことなどにより生産量が年々減っている状況にあったんです。そこで会社から「徳島に農業部門を作るから行ってくれないか」と。もともと、自然に囲まれた暮らしに興味があったこともあり、こちらに移住することを決めました。

--最初に来られたとき、どのような印象を持たれましたか?

田中さん:実は徳島はおろか、四国にさえ一度も来たことがなかったんです。四国と言えば四万十川、みたいな漠然としたイメージでしたね(笑)。だから最初に板野町に来たときは、吉野川は流れているし、畑と田んぼが残っていて美しい所だなと思いました。

--今は奥さまとご一緒に暮らされているとか。

田中さん:こちらに来て4、5年が経った頃に結婚し、徳島で一緒に暮らすようになりました。田舎といっても車ですぐの所にお店もたくさんありますし、生活面での不便を感じたことは一度もありません。妻も、ここでの暮らしを気に入ってくれているようです。

最高の奈良漬けを作るために。

--今はどのようなお仕事を任されているのですか?

田中さん:奈良漬けの原料となる瓜を栽培しており、種まきから収穫までのすべてに関わっています。当初は農業に関してまったくの素人でしたから、会社に瓜を卸してくださっていたご近所の農家さんのもとに修行に行かせていただきながら、会社の畑も手掛けるという毎日でした。

--まさにゼロからのスタートだったわけですね。瓜づくりへのこだわりがあれば教えてください。

田中さん:瓜の収穫量を増やすために、カボチャの苗木に接ぎ木をする方法があるのですが、弊社では実生から栽培する方法にこだわっています。収穫量を伸ばすことよりも、柔らかさなどの品質を高めることを優先しているからです。一生懸命に育てた瓜が最高の状態で収穫できた時は、何事にも代え難い喜びがありますね。

--最近の若者の中には、奈良漬けを食べたことがない方もいらっしゃるかもしれませんが本当においしいですよね。

田中さん:奈良漬けは瓜を酒粕につけ込んだものですが、炊きたてのご飯やお茶漬けにして食べると本当においしいですよ。サンドイッチやチャーハンの具として使うのもお勧めです。弊社では昔からの作り方にこだわっていて、手作業で一つずつ丁寧につけ込んでいるので味には自信を持っています。

ここに来てから、肩の力が抜けました。

--田中さんが考える板野町の魅力って何でしょう?

田中さん:のどかな田舎でありながら、近畿圏にも近いという立地ですね。神戸には1時間半ほどで行けますし、故郷の大阪にも2時間ちょっとです。板野ICで高速バスに乗れるようになっているので、帰省の際にはよく利用しています。だから僕にとっては、すごく遠いところに来たという感覚もないんです。

--ここで15年近く暮らされているわけですが、ご自身の中で何か変わったことはありますか?

田中さん:ずっと自然に囲まれて生活をしているせいか、肩の力が抜けましたね。すべてのことに肩肘を張らないようになったと言うか。農業もそうですが、どんなに一生懸命頑張っても、台風などの大きな力には逆らえない。「なるようにしかならない」という気持ちが、自分の中に育まれているような気がします。

--移住を考えている方々にメッセージをお願いします。

田中さん:私の場合は転勤がきっかけでしたが、初めてここに来たときに「ああ、ここで暮らすんだな」という思いが自然と湧いたことを覚えています。その時の思いを信じ、ただ身を任せただけ。もし、板野町に良い印象を持てたのなら、自分の直感を信じて移住を前向きに考えみてもいいんじゃないかな。きっと、ゆったりと自然体で暮らせるはずです。