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仕事徳島で輝く女性美馬市

宮古島の海から徳島の森林へ。家業をつなぎながら、林業界に新しい風を(移住者インタビュー)

2025.02.05

林業(大泉林業所)
大泉まりあさん

徳島県北西部、美馬市ののどかな風景の中に、堂々と佇む立派なログハウス。県内の森林で主に更新伐や材木の搬出を手がける大泉林業所の事務所です。2021年に沖縄県からUターンした大泉まりあさんは、父が代表を務める同社で働いています。

美馬市の西隣、つるぎ町出身。阿南市の阿南工業高等専門学校に進み、卒業後は市内の大手化学メーカーで製造や品質管理を担当していました。30歳を機に「ずっと好きだった旅や宿にかかわる仕事をしたい」と沖縄県・宮古島に移住。リゾートホテルスタッフを経て、ダイビングインストラクターとして活動しました。

充実した日々を送りながらも、いつかは徳島に戻るつもりでいた大泉さん。父が引退をほのめかしたことをきっかけに、「祖父の代から続く家業がなくなるのは嫌だ」と本格的にUターンを考えはじめました。

「かつては、男性が身一つで山に入って…みたいな働き方が主流で、危険なイメージが強かった林業ですが、最近は大型の機械に乗って動かす仕事が増えて、安全性もかなり高まっている。それなら女性の私でもできるかも、と思えたんです」。

決断の根底にあったのは、幼い頃から見てきた祖父と父の背中。「2人がプロの"山師"として働く姿を見て、私も何かの道を極めてプロになりたい、とずっと思っていたんです」。宮古島時代にダイビングインストラクターに転身したのもそんな想いから。そこでの成功体験が、未経験の林業に挑戦する背中を押しました。

林業人材を育成する「とくしま林業アカデミー」での1年間の研修を経て、2023年に大泉林業所へ入社。林業現場では、キャタピラつきのトラックやショベルカーを操作して、伐採した木の積み下ろしや運搬を行います。

また「会社がよりよくなるために、これまでの経験を還元したい」と大泉さん。メーカー勤務時代に培ったITスキルを活かして、補助金申請や事業計画の書類作成といった事務作業も積極的に担当しています。

休日は、県南の美波町でスキューバダイビングを楽しんだり、林業アカデミー時代の同期と、香川県や高知県のサバイバルゲームフィールドを訪れたり。引き続き旅行も楽しんでいます。

「今住んでいる場所は、高速道路インターチェンジの近く。香川や高知、愛媛、岡山の中心部まで車で1~2時間で行ける便利な拠点です。徳島阿波おどり空港はもちろん、高松空港や神戸空港へのアクセスもいいので、移動で困ることはほとんどありません」。関西方面に出かけるときには、徳島港から出ている南海フェリーの片道乗船券と、南海電鉄の乗車券がセットになった『好きっぷ』もよく活用しているそうです。

「林業は、数十年前から変わっていない部分も多い。異業種の視点や意見も取り入れながら、装備や作業方法などをアップデートして、もっと安全なものにしていきたい」と力を込めます。

いま最も力を入れて取り組むのが、すべての林業現場へのAEDの導入。「1台の備えで救える命がある。必要性を訴えつづけて、賛同者を一人でも多く増やしたいです」。林業の未来をまっすぐに見据えて、新しい風を吹き込ませていきます。

【おすすめスポット】
美馬市脇町の「八百萬神之御殿」。山の斜面に約8000本の桜が咲き誇る光景は見事です。徳島自動車道の「上板サービスエリア」もおすすめ。地元の食材を使った個性派メニューが充実しています!

【メッセージ、アドバイス】
今置かれている環境で、目の前にあることに一生懸命向き合うこと。「これはできる」と自信を持って言えることをひとつ作っておけば、どこに行ってもその経験やスキルを生かせるはずです。