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好きなことをいくつも組み合わせて、理想のペースで健やかに暮らす【移住者インタビュー】

2024.11.11

農業、起業(みかん農家、TONPUKU、みかん農家の宿あおとくる、古書ブン)
石川美緒さん

徳島県東部の山あいに位置する勝浦町で、夫の石川翔さんとともにみかん農業を営む石川美緒さん。農業だけでなく、ゲストハウスに古書店、アイスクリームブランドとさまざまな事業を手がけています。

東京都内の大学を卒業後、芸能事務所の広報として多忙な日々を送っていた美緒さん。翔さんとの結婚を機に、「夫婦2人で一緒に仕事がしたい」と、働き方や暮らし方を見つめ直しました。「たくさんの人が起業している東京で何かを始めると、都会のスピード感で流行りのものを追いかけて……という考えにシフトしてしまうんだろうな、と思って。それなら東京以外の方が、やりたいことに自分たちのペースで向き合いながら生きていけるんじゃないかな?と思ったんです」。思い立った2015年はちょうど「地方創生元年」で、移住に関する話題が豊富だったころ。都内で行われる移住フェアに夫婦で参加しはじめました。

ある日参加した四国移住フェアで、偶然出会った勝浦町のブース。そこで、みかん農家の後継者を探していることを耳にします。「当時は手に職がなかった私たち。農業未経験OK、さらに『夫婦での就農が望ましい』という条件がピッタリ当てはまったんです」。フェアから約1カ月後には勝浦町を訪問。その後、数度の農作業体験などを経て、2016年の3月に移住しました。

移住と同時に就農し、勝浦町の名産であるみかんの栽培をスタート。第三者承継で農地や樹木は先代のものを引き継いだため、未経験からでも比較的スムーズに軌道に乗せられたといいます。現在はみかんを軸に、すだちやレモンといった柑橘類も手がけています。

さらに、もともと農業以外にも興味があったという2人。農地とともに譲り受けた築110年以上の古民家を活用し、1日1組限定のゲストハウス「みかん農家の宿あおとくる」と、予約制の古書店「古書ブン」を開業しました。「みかんやすだちは農繁期と農閑期がハッキリしているので、農閑期でやりたいことに挑戦できるんです」。

2024年4月には、クラフトアイスクリーム/ジェラートのブランド「TONPUKU」をスタート。勝浦町の西隣に位置する上勝町の工房で、地元の素材をふんだんに活かしたジェラートを生み出しています。

「うちのみかんやすだちだけでなく、徳島に来てからの9年間で繋がった農家さんみんなの味を知ってもらいたい」と、さまざまなフレーバーを開発。果実の魅力をまるごと味わえる「ゆこう」や「梅」をはじめ、上勝の山で採れたニッキの枝葉を使った「上勝チャイ」や、蓮の廃棄花を活用した「蓮の花と桃」など、他では出会えない個性的な味が並びます。

商品は工房併設の実店舗に加えて、オンラインショップでも販売。「アイスクリームとジェラートを通して、地域の文化ごと日本全国へ届けられたら」と展望を描いています。

【おすすめスポット】
那賀町の木材を使ったおもちゃがたくさんある、「「那賀町山のおもちゃ美術館」。雨でも、子ども連れでも楽しめるのが嬉しいポイントです!

【メッセージ、アドバイス】
移住前に、現地に足を運ぶことをおすすめします。私たちが初めて勝浦町を訪れたときには、町の方が地域の方たちとごはんを食べる機会を作ってくれて、それがすごくよかったです。移住してもこの人たちに助けてもらえるかも、という可能性を感じて安心できたのを覚えています。

【1日のスケジュール】