移住者インタビュー

Interview

Uターン50代サービス・飲食東みよし町

文化的交流のできるカフェでありたいと思っています。

秋元康代さん

出身地:東みよし町

移住年:2005年

現住所:東みよし町

職業:カフェ経営

取材年月:2016年2月

子どもの独立を機に両親の介護など、将来のことを考えUターン。作品展示やライブなど人生の余暇を楽しむ文化的交流拠点を目指し、『カフェパパラギ』をオープンし、今ではたくさんの人の“居場所”として、頼りにされています。

電車と娯楽の充実を思うと、やっぱり都会が恋しい

--いつか地元に戻りたいと思っていらっしゃったんでしょうか?

秋元さん:進学で東京に出て25年。その間ずっとそう思っていたわけじゃないんです。両親がまだ元気なうちに将来のことを考え、準備していきたいと思っていたんで、子どもたちが独立したのを機に戻ることにしました。

--25年も東京で暮らされていたなら、戻って来られた時、カルチャーショックが大きかったのでは?

秋元さん:浦島太郎状態ですよ!徳島県の中でも徳島市内と県西部では文化も風習も違いますし、いまだに日々カルチャーショックですね。

--中でも一番不便を感じたり、困ったことは何でしょうか?

秋元さん:車ですね。運転しなきゃいけないというのが一番のネック。東京だと遊びに行っても夜遅くまで電車があるので、芝居や映画に行ってもその余韻を楽しみながら家に帰れる。こちらに戻ってきたら、自分で運転して帰ってこないといけないので、ずっと緊張しっぱなし。それが年と共に負担になっていますね。公共交通機関の不便さをますます実感しています。

--そういう思いもあって展示会やライブもできるカフェを始めようと思われたんですか?

秋元さん:そうですね。帰省した時に遊べる場所が、パチンコか居酒屋くらいしかなかったので。もしカフェをやるなら人生の余暇を楽しむような、趣味や学びの場所として活用できるものにしたいと思っていました。お食事の充実よりも、まずは文化的な交流ができる場になればという点は意識しましたね。

カフェの役割は人生の余暇を楽しむ拠点

--店内に飾ってある油絵や書、パッチワークなどの作品、どれも素敵ですね!

秋元さん:この地域に住んでいてあまり作品を外に出さずにいる人は、たくさんいらっしゃるんですよ。他人の評価には無関心で、コツコツと作品作りに打ち込んでいらっしゃるような。その方たちが自分のお家に作品を飾られたり、お友達に差し上げたりするのを見ていて、「皆さんに見ていただいた方がいいんじゃない?」と声をかけ、発表の場としてここを使っていただいています。中には私の自己満足で無理やり展示させていただいた人も(笑)。それでも芳名帳に書き込まれた感想などが励みになって、一歩でも二歩でも前進しようとする姿は見ていて嬉しいですね。そこからまた新しい繋がりも生まれ、どんどん広がっていくのも楽しいですよ。

--まさに文化的交流拠点ですね。

秋元さん:カフェはヨーロッパでは情報発信と情報収集の場所。「人と人とが出会って、知らない者同士が新しい関係を築いていくのもカフェの役割」と作家の落合恵子さんが書かれていたのが印象的で、それを実現したいと思っていました。

--最初からそうした構想やノウハウをお持ちだんですか?

秋元さん:父が不動産業をやっていて、商売するならこの町に足りないものがいいだろうと。「純喫茶みたいなカフェはどうか?」とアドバイスをもらって、ノウハウはコーヒー豆を卸している徳島市内の『HAMAYA』さんに一から教えてもらいました。「商売を知らない人の方が度胸があるから、案外長続きするかもしれないよ」と言われ、それだけで自信をもっちゃって(笑)。今までやっています。

--メニューの充実は二の次と言われていましたが、フードも豊富ですね。

秋元さん:地元のものをできるだけ、と思っています。ワッフルはおすすめですよ。いちごはいちご農家の平松さんとご縁があって、平松さんのいちごを使わせてもらっています。平松さんも移住して来られた方なんですよ。平松さんが作られているのは夏いちごなので、冬場は購入できないんですけどね。

そうそう、このカフェができた時にALT(小中高校で英語の授業を補助する外国語指導助手。アメリカ人やカナダ人など)の先生たちがすごく喜んでくれたんです。卒業する時は後任の方にも紹介してくれて皆さん、必ず来てくれるようになりました。

ちょっとした会話で、救われることもあるから

--秋元さんも英語で会話を?

秋元さん:私は日本語英語ですよ(笑)ALTの先生たちは日本語のレベルアップや、地域を知ろうと頑張っていて、一生懸命話しかけてくれるんです。外国人に限らず、文化や風習の違いで戸惑ったり、ふと寂しくなることって誰にでもあるじゃないですか。よそから来た人は特に、周りに遠慮して不安や孤独を感じることもあると思うんです。そんな時、そういう気持ちを吐き出せる場所があれば、ちょっとは気が楽になるんじゃないかと。同じような悩みを持つ人が交流し、外国人も移住者も、いろんな人たちの居場所になるカフェでありたいと思って、お付き合いをさせていただいています。

--リアルに町の情報を得ることができたり、交流できる場所があると心強いですね。

秋元さん:最近では地域おこし協力隊など若い人が来てくれて、町内でこれまでできなかったことを一緒にやってくれる人が増え、新しい風が吹いていると感じています。そうやって少しずつ時代が変わっていっている気がするんですけど、高校を卒業していく子たちに話を聞くと、就職を考えると地元には戻れないと思っているみたい。県外に進学し、見分を広め、自信をつけて帰って来た時にそれがいかされる地域だったらいいなと思いますね。いつ戻ってきても受け入れて、出ていくときも「元気でまた戻っておいで」という地域になればと願っています。