移住者インタビュー

Interview

Iターン50代営業・販売鳴門市

この場所が子どもの故郷で、本当に良かった。

閑俊雄さん

出身地:大阪府

移住年:2000年

現住所:鳴門市

職業:自営業

取材年月:2015年10月

鳴門国定公園に指定される、穏やかで優しい海の風景。その目前で雑貨店「ISLAND(アイランド)」を経営する閑さんは、15年ほど前に大阪から移住してきました。今では県内外から多くのお客様が訪れる観光地の一翼を担っています。

今後の人生を深く考え、徳島へ。

--リゾートホテルの入り口にお店があるんですね。どんなものを販売されているんですか?

閑さん:ナチュラルなデザインや素材をコンセプトにした、食器や日用雑貨などを販売しています。地元で採れた貝殻や花材などを使ったワークショップもやっていて、子ども連れでいらっしゃるお客様も増えてきました。早いもので、手探りでお店を始めてから12年ほどになります。

--移住の理由は何だったのでしょう?

閑さん:僕は生まれも育ちも大阪で、幼稚園から大学までずっと地元で暮らしてきました。そのまま大阪で就職して3年ほど経った時に、ちょっと人生観が変わってしまうほど大きな出来事があったんです。それまでは将来について深く考えることもなく、惰性のような日々を過ごしていたのですが、このままではいけないと。今後の人生を考える中で、移住という選択肢が浮かび上がったんです。

--なぜ鳴門を選ばれたんですか?

閑さん:学生時代にサーフィンをやっていたのですが、実はこの辺りの道をよく通っていたんですよ。当時はお金がないから大鳴門橋を渡ってすぐにインターを降りて、県南に向かって下道を走るんです。その時に通った鳴門国定公園の風景が、強く印象に残っていたんでしょうね。ただ、僕が最初に徳島に移住したのは、ここではなく徳島市内でしたけれど。

優しい人と、豊かな自然と。

--えっ?あまりに素晴らしい環境なので、この場所を目指して移住されたのかと思いました。

閑さん:当時は徳島市内でバイヤーの仕事をしていて、この場所は倉庫として使っていたんです。家族を養うために、目の前のことをとにかく一生懸命にこなしていた時代でした。でも、取引先の方々が口々に「あんないい場所を、倉庫にしておくのはもったいない」って(笑)。もともと妻が雑貨に興味を持っていたこともあり「それなら、始めてみようか」とお店をオープンしました。

--また一つ、大きなチャレンジを選んだのですね。

閑さん:自分にとっては、それほど大きなチャレンジでもなかったんですよ。よし、やってみるかという感じ。妻と二人で力を合わせながら、その日その日を乗り越えてきました。周りの方々にもとても親切にしていただき、大きな施設にお店のパンフレットを置いていただけたことも大きかったですね。

--地域に溶け込むための秘訣のようなものはありますか?

閑さん:特に僕は何もしていないんですよ。本当に気が付いたらこうなっていた感じです。日々の暮らしの中で、自然に地元の人や移住者の人とつながることができています。

ここは「ちょうどいい田舎」。

--いきなり奥さんに質問を振りますが、鳴門への移住をどのように感じられていますか?

奥さま:ここでの暮らしは、やっぱり気持ちが楽かな。そのままの自分でいられるという感じです。自然だけでなく、地元の優しい人々にも恵まれていると思います。海の色も波の形も、毎日違う。そんな鳴門の風景が、私は好きです。

--ここに来て良かったと思えることは?

閑さん:自然もあるし、にぎわいもある。本当に「ちょうどいい田舎」だなと。妻も言ったように、いつも楽な気持ちでいられるんですよね。大阪も徳島も、僕にとっては大切な故郷。今は高校生になった娘も、物心がつく前からずっとこの場所で暮らしてきて、家族や友達と一緒にかけがえのない思い出を作ってきました。将来「ここが私のふるさとなんだよ」と言える娘が、親から見ても、うらやましく思えるんです。

--移住を考えている方にメッセージをお願いします。

閑さん:僕の場合は、あまり計画性なくこっちにきたけれど、必死にやっているうちに道が拓けてきた。住みたいという気持ちが強いならば、思い切って飛び込んでみるのもいいかもしれません。僕たちも、毎日を一生懸命に取り組みながら、少しずつ、ゆっくりと歩いて行きます。