移住者インタビュー

Interview

Iターン40代営業・販売専門・その他鳴門市

ストレスのない、自分らしい生き方を。

根岸和之さん

出身地:神奈川県

移住年:2014年

現住所:鳴門市

職業:自営業

取材年月:2015年10月

ラビットスクーター専門店という、全国でも珍しいお店を経営する根岸さん。移住のきっかけとなったのが、東日本大震災による安全面への不安でした。大毛島に中古物件を購入し、愛着あるお店として改装する姿からは「この場所で豊かに暮らし続けたい」という思いが伝わってきます。

安心して子育てができる場所へ。

--それにしてもカッコいいお店ですね。鳴門にこんな専門店があるなんて知りませんでした。

根岸さん:富士重工(現スバル)が1968年まで製造していた、ラビットスクーターの専門店です。純日本製のスクーターで、今でも年配の方を中心に根強い人気があるんですよ。デザインも本当にカッコいいんですけど、乗っても楽しい。若い世代にも、この魅力を知ってほしいと思って始めました。

--そもそも移住のきっかけは何だったのでしょうか?

根岸さん:東日本大震災によって、自分の住んでいる環境に不安を持ったことがきっかけです。スーパーに買い物に行っても、産地表示を見ると関東圏のものばかり。好きな野菜を選ぶこともできず、買い物をしていても楽しくありませんでした。小学生の子どもがいることもあり、安心して子育てがしたいと思ったことが移住を考え始めた一番の理由でしたね。

--移住先はどのように決められたのですか?

根岸さん:自分よりも半年ほどに鳴門に移住していた友人がいて「いいところだから、一度見に来てみたら?」と。何度か鳴門を訪れ、実際に滞在をしながら暮らしのイメージを膨らませました。それまで住んでいた所はコンビニもないような田舎だったので、ここなら利便性も高まりそうだなと。しかも、関東からの移住には徳島って地理的にもちょうど良い距離なんですよ。九州まで行くと、ちょっと遠過ぎるかなという感覚です。

県からの2つの創業支援が大きかった。

--実際に鳴門に住んでみていかがですか?

根岸さん:こっちに来てからは、何のストレスもなく野菜が食べられるようになりました。魚も好物なのですが、こっちの魚介類は本当においしい。時間があるときは釣り竿を垂らし、自分で釣った新鮮な魚を食べることもあります。あと、海に近いこともサーファーにとっては嬉しいポイントでした。鳴門の海は比較的穏やかなのですが、水がきれいだし、ロケーションもいい。天気図を確認しながら、暇を見つけてはサーフィンに繰り出しています。

--仕事について、不安はありませんでしたか?

根岸さん:もともと自動車の整備工場を経営していたのですが、移住先では土地や設備の確保が難しかったんです。だったら、自分が好きなスクーターの専門店をやろうって。自分が好きなようにお店を改築したかったので、中古物件を購入しました。お店でリペアしたものを販売していますが、県外からのお客様が多いですね。インターネットを活用すれば、どこにいても商売はできますから。

--移住者支援などは利用しましたか?

根岸さん:なるべく多くの支援を利用したかったので、移住前に県庁に足を運びました。そこでご紹介いただいたのが「あったかビジネスパラダイス事業」という制度と、それとは別の創業支援制度の2つ。移住に合わせて商売を始める人は、こういった制度を積極的に利用した方がいいと思います。また、その流れで県のビジネス系イベントにも出店させていただき、お店のPRなどを行うこともできました。

こんなに田舎なのに、アクセスは抜群です。

--鳴門の魅力って、どんな所でしょう?

根岸さん:僕の住んでいる大毛島は、いつもゆったりとした時間が流れています。それでいて、高速道路のインターや空港にも近いし、高速バスに乗ればあっという間に近畿圏に行くこともできる。移住者にとっては、まさに穴場って言えるんじゃないかな。案外、地元の方々は、この魅力に気づいてないかもしれませんけどね。市内から引っ越してきている人がいたり、別荘があったりする場所なので、田舎の中でも開けている方だと思います。

--地域とのつながりは、いかがですか?

根岸さん:近所の皆さんとは、すごく仲良くしています。意外と子どもの数も多いので、娘にも友達がいっぱいできました。妻も安心して子育てができる環境を喜んでくれているようです。あと、個人的には移住者同士のコミュニティを積極的に作らないようにしています。海外旅行に行って日本人同士で集まるのと、どこか似ているような気がしているので。もちろん、どちらを選ぶかは人や地域によると思いますけどね。

--徳島への移住を考えている方々に言葉を掛けるとしたら?

根岸さん:悩んでいる人って、すごくたくさんいると思うんです。いつまでも悩んでいるぐらいなら、一度現地に足を運んでほしい。僕がそうだったように、その環境を目の当たりにすれば、新たな決意が生まれるかもしれません。田舎だけれど、田舎過ぎない。そんな場所に出会うことができて、僕たちは本当に良かったと思っています。