移住者インタビュー

Interview

Iターン40代地域おこし協力隊専門・その他那賀町

日本一ドローンが飛ぶ町を目指して

喜多幸治さん

出身地:徳島市

移住年:2015 年

現住所:那賀町

職業:地域おこし協力隊

取材年月:2015年11月

2014年夏。台風11号による大雨の影響で、那賀町は広範囲にわたり大規模な災害に見舞われました。その時、災害ボランティアに参加し、町の活動に興味を持ったのが移住のきっかけ。現在は地域おこし協力隊として、温泉×ジビエ×ドローンという異質なコラボによる町おこしに奮闘しています。

災害時のオペレーションに「那賀町、すげー!」って思いました

--2014年の台風11号の被害については連日、全国ニュースでもとりあげられていましたね。

喜多さん:那賀町では鷲敷地区が床上浸水や倒木による通行止めなどの被害がでました。親戚が那賀町に住んでいることもあり、少しでも役に立てればと、その時、災害ボランティアに参加しました。
災害ボランティアに参加するのは初めての経験だったのですが、役場の職員や消防団の方たちのだんどりと手際の良さに感動しました。8時40分ごろに那賀町災害ボランティアセンターに到着し、申し込みを終え、班分けが行われ、班単位で被災したお宅へ向かったのが9時頃。ボランティア受付テントの配置から民家の清掃・片付け・泥かきに使う用具の手配、チェックリスト、タオル・マスクなど消耗品の提供など、本当にスムーズでした。質問にも親切に対応していて、気持ちよく作業が出来ました。

--災害ボランティアにはどんな方が参加されていたんでしょうか?

喜多さん:私のように一人で参加している人がほとんどでした。私の班は19歳の男性が1人、26歳の男女が2人にオッサンの私で4人。だいたいの班に1人は女性が入るようになっていて、女性の方はよく気がつくんです。そのことを作業していて実感し、チーム構成の意味を理解しました。作業の合間の休憩時間などに若い方々といろいろお話できたことも新鮮でした。

「なかはなかなかいいいなか」

喜多さん:この災害ボランティアがきっかけで、那賀町の地域おこし協力隊に応募しました。ボランティアとして関わった鷲敷地区での活動を希望していたのですが、配属先が木沢の『四季美谷温泉』に決まり、2015年4月から鹿肉ジビエの広報担当をしています。

--『四季美谷温泉』は徳島市内からだと車で2時間程度でしょうか。那賀町の中心地からもだいぶ離れていますね。

喜多さん:距離はありますが、いいところですよ!送迎バスもあり、宿泊もできるので宴会や研修によく利用されています。館内の和風レストラン「四季の森」は、鳥獣害対策として鹿肉を活用したメニューに力を入れていて、阿波地美栄県認定1号にもなっています。鹿肉は高たんぱく、低カロリーで鉄分豊富ですから、『四季美谷温泉』に立ち寄る登山や沢登り、バイクなどの趣味を楽しむ人たちにも人気です。紅葉も綺麗ですし、『四季美谷温泉』からは少し離れるんですが、土須峠あたりの巨石はダイナミックで、写真愛好家の方たちの撮影スポットとしても知られています。

--鹿肉のメニュー、おいしそうですね。

喜多さん:おいしいですよ!捕獲されてから数時間以内に処理するので、鮮度も抜群。肉質も良く、料理長が丁寧に筋をとっているので、食べやすいと思います。おすすめは鹿肉の竜田揚げとまたぎ汁がセットになった定食「ファガス(918円)」。またぎ汁は豚汁の鹿肉版みたいなもので、私、これが一番好きなんですよ。スタッフの賄いにもついているんで、毎回食べています。温泉メンバーからは「よく飽きんな~」と言われていますが、全然飽きません。疲れた日は温泉に入って帰るという、贅沢な生活をしています(笑)那賀町のキャッチコピーで、「なかはなかなかいいいなか」というのがあるんですが、まさにそれを体感しております。

温泉×ジビエ×ドローンで、交流人口を増やしたい!

--2015年10月、那賀町が徳島版ドローン特区に指定され、『四季美谷温泉』を拠点にドローンによる町おこしにも取り組まれるそうですね。

喜多さん:2014年の秋に初めて実機を見て「これは面白い!」と直感しました。『四季美谷温泉』のウリは温泉とジビエですが、日本全国、中山間地域なら同じようなところは他にいくらでもあると思うんです。でも温泉×ジビエ×ドローンというのは『四季美谷温泉』だけ。 ドローンという異質なものが加わることで、独自性がPRできると思いました。今年8月には徳島大学大学院ソシオテクノサイセンス部准教授の三輪博士を招いてドローンについての講演会も行い、手ごたえを感じました(写真提供:喜多幸治さん)。

--物流や林業、農業などの分野でドローンの活用が期待されていますが、那賀町ではドローンをどのように活用していこうと考えていますか?

喜多さん:私が目指すのはホビー活用を中心とした飛行から撮影までワンストップで提供するプラットフォーム。ものは考えようで、ドローンなら人口が少ないこと、廃校があるといった木沢のマイナス面もメリットになる。那賀町にはこれまで独立独歩でやってきた年配の方々がたくさんいらっしゃるんですが、みなさんちょっとしたものは自分で作っちゃいますし、壊れたりしても自分で直しちゃうんですね。すごく器用なんですよ。だったら、ドローンの操縦もわけないかな、と思っています。どの地域も「若者を移住させよう」と、人材の争奪戦みたいになっていますけど、今後実施する勉強会やオペレーター養成講座には地元の人も参加してもらって、爺さんドローンオペレーターとかが出てきたらかっこよくないですか!?

那賀町には豊かな自然や日本の滝100選にも選出された名瀑など、ドローンによる撮影ポイントもたくさんあります。こうした取り組みを通じて交流人口を増やし、日本で一番ドローンが飛ぶ町として、那賀町の認知度を高めたいと思っています。