移住者インタビュー

Interview

Iターン20代事務・企画編集・クリエイター農林漁業阿南市

キレイな海を求めて、新しい暮らしに踏み切りました

永島侑志さん 華緒里さん

出身地:京都府(侑志さん)、茨城県(華緒里さん)
移住年:2022年
現住所:阿南市
職業:侑志さん『株式会社四国の右下木の会社』、華緒里さん『株式会社あわえ』
年代:20代

取材年月:2022年7月

マリンスポーツやキャンプが好きという永島さんご夫婦。2人の共通の趣味“スピアフィッシング(魚突き)”ができるところを条件に移住先を探す中で、徳島県も候補に挙がります。徳島県には縁もゆかりもなく、知り合いも1人もいないという状況に不安がよぎることもあったそうですが、阿南市移住コーディネーターの笠谷さんや先輩移住者の南さんなど、同世代の繋がりに背中を押され、移住を決意。2022年2月に移住したのですが・・・。

「魚突きができる場所」を条件に移住先を探されたと伺いました。

華緒里さん 2人ともすごく海が好きで。東京で働いていた頃は、週末になったらキレイな海を求めて、車で4~5時間かけて静岡県まで行っていました。渋滞にはまりながら毎回4~5時間もかけて行くなら、「海のそばで暮らしたいよね」っていう話になり、「移住したいね」、「移住するなら2人で始めたスピアフィッシング(素潜りなどで魚を突く水中スポーツ)が条例で禁止されていない県がいいね」という条件で移住先を絞り込んで、その中に徳島も入っていて・・・。

関東近郊ではなく、四国・徳島までも候補地に挙がったんですね。

華緒里さん 関東なら茨城県も該当するのですが、せっかく移住するならもっと海がキレイで、魚影が濃いところがいいなと思っていました。

となると、徳島県内でも阿南市より、もっと南の方が希望に近いような気がしますが。

侑志さん 最初は美波町を考えていたので、移住の下見に来たときは、レンタカーを借りてまずは美波町へ行ったんです。

華緒里さん 当時は就職先が徳島市内になることを想定していたので、通勤を考えると美波町に住むのは難しいかな…と感じました。下見の際は、阿南市内のビジネスホテルに泊まっていたたんです。ので、せっかく滞在しているなら阿南市内も見てみよう!という話になり、車で阿南市内をめぐるうちに、自分たちが思い描く移住先に近い気がして。それで「阿南市で家を探そう!」と心を決め、阿南市移住コーディネーター笠谷さん(写真左)に、この家を紹介してもらいました。

玄関の松も立派で、庭もあっていいところですね!こんないい物件に出会えるなんて、めちゃくちゃラッキーですね。即決だったのでは?

侑志さん それが最初はこのあたりに住むことは想定していなかったんですよ(笑)。阿南市の中でも比較的人も多く栄えているイメージがあったので、もっと田舎がいいなと思っていて。だから内見の時も「このあたりは栄えているからな…」とあまり前のめりではなかったんですが、来てみたらここが一番良かったです。

華緒里さん 笠谷さんが「絶対気に入るから!」と言って連れてきてくださって。

家は阿南市ですが結局、お仕事は美波町へ通うことになったんですね。

華緒里さん そうなんです(笑)。家を先に決めて、仕事はその後探そうと思ってはいたので、「徳島市内で就職したら通勤に時間がかかりそうだから…」と言って住むことを諦めた美波町に縁があって、2人とも美波町にある会社で働いています。人生、どうなるかわからないですね。

▲東京で暮らしていた頃はキャンプに行ってリフレッシュしていたそうです。

通勤時間は車で40分くらいですかね。侑志さんは『株式会社四国の右下木の会社』という林業関連のお仕事ですが、山にも興味があったんですか??

侑志さん いや、まったく(笑)。山登りもしたことないというか、むしろ山には登りたくないというくらい、全然興味がなくて。でも、こっちに来てデスクワークをするよりかは、自然に関わる仕事ができたらいいなと思っていたので、「林業どう?」って紹介されて、なんとなく楽しそうだなと、林業の仕事に就くことになりました。

じゃあ、今は山で木を伐っていらっしゃる?

侑志さん まさにそうですね。経験ゼロの状態からチェーンソーの講習に通って、いろいろ教えてもらいながらやっています。

--すごいですね!

侑志さん 今のところ8時スタート、夕方4時くらいに解散というスケジュール。夏場、もっと暑くなってくると朝5時スタートで、昼過ぎ解散くらいになるみたいです。残業も一切ないというところもいいですね。

華緒里さんは地方創生を事業として行う『株式会社あわえ』にお勤めなんですね

華緒里さん はい。前職は旅行会社で働いていたんですが、企画から添乗まで全部やらせてもらっていて、その中で私が得意だったのが文字で何かを伝える広報の仕事でした。転職活動をしている時に『あわえ』で広報担当者を募集しているのを見つけて。業種は違うけど、これまでの経験をいかすことができるのではないかと応募し、今に至ります。

実際に徳島にお住まいになってみて、どうですか?

華緒里さん 実は今年の3月から徳島県ではスピアフィッシング(魚突き)が禁止になってしまったんです。

--え―――ッ!!!!

華緒里さん 移住したときはまだ徳島県漁業組合のホームページが更新されなくて。地元の広報誌で地域の人には告知されたていたみたいなんですが、外から来た私たちは全然知らなかったんです。『あわえ』で働くようになって、地元の漁師さんと一緒にご飯を食べたり、交流したりする機会があり、そのときに「密猟者も多くて、レジャーでやっているのか密漁なのか見分けがつかないから、禁止にせざるを得なかった」っていう話を聞いて。どうしようもないのはわかったんですが、最初は悔しくて、「もう一度移住するか・・・」くらい落ち込みました。

--2月に移住して3月から禁止とは、ショックが大きいですね。

華緒里さん 今は切り替えて新しくサーフィンを始めたり、魚突きは高知県へ行ったりしています。海が近いので、他のマリンスポーツができる環境なのはやっぱりいいな、と。それに近所の皆さんが本当にすごくいい方々で、朝、「スナップエンドウができたけど、採りに来るか?」とか、「ジャンボニンニクができたから採りにおいで」とか声をかけてくださって。東京にいたときは近所の人の顔なんてわからないし、土に触れることもない生活だったので、近所の方とこんな風に交流ができることに感謝しています。小中学生が家の前を通るときに「こんにちは」とか「おはようございます」とか、そういう小さなコミュニケーションが毎日のようにとれていることも、移住して来てよかったと思う瞬間ですね。

--侑志さんはいかがですか?

侑志さん 以前はレンタカーを借りて何時間もかけてキャンプへ行っていたのが、自分の車で30分くらいで行けるのはすごく嬉しいですね。しかもそこがむちゃくちゃいいキャンプ場で。これまでは1ヵ月前にレンタカー予約して、キャンプ場予約して・・・って感じだったのが、「明日、キャンプ行こうか」って、思い立ったらすぐ行けるというのは最高です。

--ワンちゃんはこっちに来てから飼い始めたんですか?

華緒里さん そうです。ずっと飼いたかったんですよ。この子は動物愛護センターで出会って、運命を感じて家族になりました。

--想定外のこともありましたが、移住してきてよかったですか?

侑志さん そうですね。阿南市は地域おこし協力隊や、もうひとりの移住コーディネーターの岩浅さんも同世代。移住者同士はもちろん、地元の若い人のコミュニティとも繋いでくれて、そうした横の関係をつくれたのもよかったです。

華緒里さん 移住する時に知り合いが全くいないことがとても不安で。私たちは縁もゆかりもないIターン者なので、「排除される文化だったらどうしよう」とか「誰も仲良くしてくれなかったらどうしよう」とかすごく怖かったんですけど、笠谷さんや先輩移住者の南さんにお会いしたことが、ものすごく心の支えになって、決意できました。移住してからは「移住して良かった!」と思うことばかりです。

--移住前に先輩移住者の話が聞けたのはいいですね。

華緒里さん 仕事も決めていないし、「大丈夫かな・・・」ってずっと不安があったんですが、南さんに「迷いなく決断したら、結果は後からついてくるから、大丈夫」って背中を押していただいて。そういう繋がりをつくってもらえたっていうのが、阿南市に決めた大きなポイントだったと思います。

--貴重なお話、ありがとうございました。