那賀町地域おこし協力隊を2025年1月に退任した藤本 雪絵さん(徳島県那賀町出身)にお話を伺いました!(2025年2月取材)
Q1協力隊になる前は何をしていましたか?
私は徳島県那賀町出身です。高校時代から「こどもと地域のおとなを繋ぐ仕事に就きたい。そんな仕事は教員しかない」と教員を目指し、広島県の大学へ進学しました。しかし大学最後の春休みに観光案内の人力車に乗ったことをきっかけに、そのまま車夫(人力車を引く人)を3年間しました。それから一度徳島県那賀町に帰りましたが、結婚を機に広島県に戻り夢だった高校教員をしていました。
<人力車で観光案内をする藤本さん>
Q2なぜ那賀町の地域おこし協力隊になったのですか?
那賀町へ一度戻ってきた際、那賀町地域おこし協力隊の皆さんに出会いました。現役隊員の活動を手伝い、交流することで「廃校になった母校を多世代・他地域の方々と交流や情報交換ができる場所をつくりたい」という思いが湧いてきました。結婚後、理想の子育てを求めて多様な人間関係や四季を自然や行事から体感できる那賀町に戻りたいと思うようになりました。協力隊以外の仕事も考えましたが職業の選択肢を増やしたい、自分で仕事をつくってみたいと思い、地域おこし協力隊になりました。
Q3二度徳島県を出て戻ってきて感じたことはありますか?
二度目の徳島県那賀町Uターンは「変わったこと」より「変わらないこと」の方が多く感じました。一度目のUターンの際に出会った、田舎・過疎地を再興させる団体やイベントはコロナ禍を乗り越え、継続されているものが多く安心しました。また気になっていた母校である廃校も変わらず活発に利用されている様子がなかったので、私が廃校活用をする番だと勝手に感じていました。また今回のUターンは夫を連れての生活の上、妊娠・出産・育児もスタートし、主体的に暮らすようになったことで地元でありながらもカルチャーショックは多くありました。
Q4現役の時はどんな活動をしていましたか?
任期前半は地域の農家さんのもとで農作業体験をさせていただいたり、地域の方へ広報紙を毎月発行したりしていました。コロナ禍だったため、イベントや人に会うことが強く制限されていたのでなんとか地域の方々に会える機会を作っていました。任期後半は母校である廃校を「ひらの図書室」として毎月十日間ほど開室し、地域内外の方の交流場所、居場所、挑戦のきっかけづくりをしていました。また、「民泊」をキーワードに着任していたため、古民家宿の準備も行いました。総務省よりコロナ禍特例として任期延長、また産前・育休期間もあったので、那賀町役場へは四年十カ月お世話になりました。長期的に活動できたことや、子育てをスタートできたこともあり広い視野で取り組むことができたと思います。
Q5活動中意識していることはありますか?
とりあえず発信し続けることを意識していました。着任時はコロナ禍で様々な活動が制限されていたため、①自分を知ってもらう②地域の方に地域の魅力を再発見してもらう③取材を目的に地域の方に会う口実、として発信活動を始めました。活動の繁忙期によっては、なかなかできないときもありましたが、毎月町内へ広報紙「ぱくぱく通信」を発行したり、SNS発信をしたりしていました。
Q6これからやっていきたいことは何ですか?
「ひらの図書室」の運営チーム作りと運営基礎力の向上、令和7年3月10日に本格始動予定の古民家宿「イツキ邸」の運営です。「ひらの図書室」は住民活動の一環として継続させてもらえることになりました。ボランティアベースということもあり毎週木曜日のみの開室からスタートしますが、継続・発展できるよう読書推進や交流場所、居場所作りに留まらず社会教育的な活動に力を入れていきたいと考えています。協力隊現役時代に運営の仕組みを作りきれず、仲間にボランティアでお願いすることが心苦しくて頼り切れなくて一人で作業することが多くなり大変でした。しかし卒業した今、私も住民側になることができたので同じ立場で助け合い頼るときは頼り一緒に図書室の未来を考えていきたいと思い、これからが地域おこしの本番だと考えています。「イツキ邸」では、「おもてなしをする宿」というよりは地域交流スペースとしての開放やパソコン関連等のお手伝い、フォトガイド、地
元産品の販売を行う予定です。フォトガイドでは、以前の仕事(人力車)のスキルを活かし、何気ない場所も非現実的体験を提供することで、地域の再発見や新しいアクティビティの一つになるのではないかと考えています。また活動を発信すること自体が、地域の方々の元気や励みになっているようで、さらにそれが私にとってもプラスになっていると実感できています。そのため発信活動は継続していきます。
<古民家宿「イツキ邸」>
Q7徳島県の魅力は何だと思いますか?
どこかで誰かが繋がっていることだと思います。徳島県は人口規模的にコンパクトで、交流会や研修会で出会う「初めまして」の方も、少しお話をしていると共通の知人が出てきます。その為、生活圏内に求める知見やスキル等を持つ方がいなかったとしても知人を介し繋がり協力してもらえる環境が魅力だと思います。また、協力隊期間中だからこそ徳島県内の様々な組織に入ったり、研修会に参加したりしましたが、徳島県は行動をすれば応援してもらえる環境が整っていると思います。集まりは基本的に県の中心部で開催されるため移動時間や燃料費等の負担はかかりますが・・・(笑)。他にも県内のメディアとも繋がりやすく広報してくださるので出会ったことのない方も活動を気にかけてくださる環境が魅力とも感じています。
<藤本さんのお気に入りの場所「ひらの図書室」のある旧平野小学校>