移住者インタビュー

Interview

仕事子育て編集・クリエイター起業佐那河内村

子どもの“生きる力”が育つ里山暮らし。旧郵便局から地域の幸せを作りたい。

合同会社暮らしと自治と創造 代表
POST GARDEN 管理人
田口 寛子さん

取材月:2024年9月

徳島県内唯一の村である佐那河内村で、夫と3人の子どもと暮らす田口さん。福岡県うきは市で生まれ育ち、大学進学を機に上京。卒業後に勤めた山梨県早川町のNPO法人で、さまざまな人がかかわる“地域づくり”のおもしろさに魅せられました。
2011年、都市計画分野の研究者である夫が徳島大学に着任することになり、夫婦で徳島県へ。当初はキャンパスのある徳島市に住んでいましたが、長男の出産を経て「 田舎で子育てをしたい」と考えるようになりました。

家族も親戚も近くにいない孤独な子育て生活で、子どもを遊ばせるにも車に乗せて公園に連れていかないといけない。「玄関を開けたらすぐに遊び場があって『 ここで遊んどき(阿波弁で「 遊んでおいて」)!』みたいな場所で暮らせたら、そのストレスが無くなるかな、と思ったんです」。

ちょうど夫が佐那河内村の移住交流推進計画に携わっていたタイミング。 計画を作るのもいいけれど、自分自身も移住したい」と、2015年の秋に佐那河内村へ移住。古民家をリノベーションして徳島県での新たな暮らしが始まりました。

自宅から徳島市の中心部までは車で30分ほど。里山でありながら市街地へのアクセスがよく、買い物などの生活面で困ることはほとんどないそうです。

「村での生活で実感したのは “生きる力”が育つこと」。 オンラインでつながりたい人とだけつながって、面倒なことは避けても暮らしていける現代。「でも田舎だと、たとえば水道管の修繕とか草刈りとか、面倒なことでも近所の人たちと協力して向き合わないと生きていけない。そういうことの積み重ねが、子どもたちの生きる力を育んでくれると思うんです」。

2015年からは、自宅の一部を開放して 森のようちえん「お山のおうち」をスタート。同じような想いを持つお母さんたちとともに、地域と自然に密着した子育てを実現させました。

その後も村にまつわる記事の取材執筆やイベント企画など、さまざまな活動を行ってきた田口さん。2018年に「合同会社暮らしと自治と創造」を夫とともに立ち上げ、佐那河内村をはじめ全国の地域づくりに取り組んでいます。

2023年には、旧郵便局を改装したコミュニティスペース 「POST GARDEN」をオープン。「不定期で子ども食堂やカラオケ喫茶といった催しを行い、村の老若男女が集えるサードプレイスを目指しています。 これからも急がず丁寧に、今ここに住んでいる人たちみんなが幸せになれるような仕掛けを作っていきたいです」。

【おすすめスポット】
美しい海と川が充実している徳島県。佐那河内村の川はもちろん、美波町の田井ノ浜や日和佐川もおすすめ。夏になると子どもたちとカヌーやキャンプを楽しんでいます。

【メッセージ、アドバイス】
地域で活動するうえで、とにかく大事なのは信頼関係。その土地に刻まれた歴史や、守りつづけてくれた方々への敬意を忘れずに持ちつづけてほしいと思います。

【1日のスケジュール】